皆さんは「シュタイナー」と聞いて何を思い浮かべますか?
オーガニック化粧品に詳しい方は、よくご存じなのではないでしょうか。
また子どもの教育に熱意のある方も一度は聞いたことがあるかと思います。
藤井聡太棋士の大活躍の影響など、モンテッソーリ教育に注目が集まるなか、ほかの幼児教育についても興味を持つ人が増えてきています。
そのなかでも、「シュタイナー教育」について
- どういった教育を行うの?
- 独特だと聞いたけど本当?
- どういった子供が育つの?
などご紹介します。
目次
シュタイナー教育の歩み
モンテッソーリよりも、さらに日本ではあまり馴染みが少ないイメージのある「シュタイナー教育」ですが、これは1900年初頭にオーストリアの思想家のルドルフ・シュタイナーが提唱した教育方法です。
もともとはゲーテ研究家や哲学者として活躍していたルドルフ・シュタイナーが「人智学」という学問を構築し、「人間が人間らしく成長してゆくために『心』『体』『精神』を整え伸ばしていく」ということを提唱。その教育思想と実践の場として、シュタイナー教育が生まれています。
シュタイナーは教育を一つの芸術として捉え、「教育芸術」と呼んでいます。
そう聞くとなにやら難しい上に、取っ付きにくく思えるかもしれません。
シュタイナーの思想は確かに壮大で難解な部分もありますが、その教育理念は以下のとおりです。
「人間の成長リズムに合わせて、成長の芽が伸びるのをゆっくり待ちながら、心も体も精神も育てていく」
偏差値偏重や何事にもスピードや効率・競争が求められてきた時代のなかで、シュタイナー教育は“子供のありのままを受け止めながらその成長に寄り添っていく”教育であり、そこに他にはない魅力を感じる人や共感する人も多くいます。
シュタイナー教育の「7年期」って何?
シュタイナーは人間が成長していく段階を7年ごとに区切り、発達の節目としてその時期がどう成長していくのか、またその時期に重要な教育の指標を示しました。
第一7年期(0~7歳)…からだ作りの時期
感覚の鋭敏な時期でもあり、大人や周囲の環境の模倣を通して成長し、意思が作られていく。そのためにも大人は子供の環境を整えてあげることが重要。
第二7年期(7~14歳)…感情(こころ)が育つ時期
人との関係作りも深まっていき、内面的な成熟を見せ始める。芸術や教育、温かい人間関係を通して「世界は美しい」と感じられることを目指す。
第三7年期(14〜21歳)…思考(あたま)が育つ時期
論理的な思考ができるようになると同時に、周囲や環境との自分の関係性について考えを深め、大人としての旅立ちを準備する。
この内容だけ見ると少し難しく感じますが、まとめると以下のようなイメージです。
「子供はこの世に生を受けてから、
からだ→こころ→あたま
の順に育っていく」
この「からだ→こころ→あたま」の順序の成長を重要視しているシュタイナー教育では、小さい頃はからだ作りや子供の意思を尊重すること、子供が安心して過ごせる環境を整えることなどを大事にしており、無理な知能教育などは行いません。
この指標に沿って、その時期その時期の子供の成長に合わせた教育や環境を大事にしていることがシュタイナー教育の基本になります。
シュタイナー教育は“独特”?
シュタイナー教育で行われることとしては、次の内容が挙げられます。
- テレビは見せない
- プラスチックの食器やおもちゃは使わない
- 部屋は柔らかいピンク色のような色調
これだけ見ると、「ルールが多そう」「独特な感じがする」と思っている人もいるでしょう。
しかし本来のシュタイナー教育は、理論こそ難しく感じられるかもしれませんが、縛り付けるようなルールがあったり、何かを強制するようなものではありません。
上記の内容には、すべて理由があるのです。
テレビは見せない
テレビのスピードが子供には速すぎること、ただ見るだけではなく実際に体験する機会を大事にしたいという考えから、シュタイナー教育では積極的にはテレビは見せないようにしています。
プラスチックの食器やおもちゃは使わない
感受性の鋭敏な時期には、石や木、布などの本物の素材を使うことで感性を育んでいってほしいとの思いから。
部屋は柔らかいピンク色のような色調にする
特定の色を推奨するようなことはありません。
ただシュタイナー教育では、子供が落ち着く空間や環境を作ることが重要視されており、子供たちがほっと落ち着く色ということで、比較的薄くて淡い色合いの布で包まれた空間などが好まれることはあるようです。
というように、それぞれに子供の成長を考えた上での理由があるのです。
シュタイナー教育を受けると、どんな子供が育つの?
シュタイナー教育は、日本では教育熱心な親御さんが興味を持っているイメージがあるかもしれませんが、IQや偏差値の高い子に育てる教育ではありません。
むしろ幼児期での早期教育には否定的です。
シュタイナー教育では「自由への教育」を掲げており、自分で意思を持ち、世界を愛しながら自由に生きて行く子を育てることを目標としています。
それについて教え込むかたちではなく、自然の力や環境、音楽や色彩、芸術などから子供たちが自然に感じ取り、子供たちの成長のタイミングで学んでいく姿勢を大事にしています。
シュタイナー教育の学校を卒業した子供たちの進路としては、海外を含めた大学進学率も高く、芸術系の分野に進む子も多いようです。
日本でも徐々に注目を集めつつあるシュタイナー教育。
今のような時代だからこそ、シュタイナー教育の「知識だけにとどまらない総合的な人間教育」は魅力的に感じられますし、子供の成長に寄り添った教育には、育児の参考になるヒントがたくさん詰まっています。