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リトミックとは? 音楽を使って人間力も育てる幼児教育3つの魅力

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「リトミック」という言葉を聞いたことはありますか?
子どもの習い事としても、人気が高まっているリトミック。音楽に合わせて子どもが体を動かす、そんなイメージを持つ人も多いと思います。

リトミックとは、もとは音楽を学ぶ生徒のために考案された音楽指導法の一つです。
現在はその趣旨を引き継ぎ、子どもの音楽的感性だけでなく、感受性や集中力を高める幼児教育の一つとなっています。

リトミックとは

音楽指導法としてのリトミックの歴史

リトミック(Eurhythmics)の起源は、19世紀末までさかのぼります。
元は、リトミックはスイスの作曲家エミール・ジャック・ダルクローズによって考え出された音楽教育法です。
英語圏では、その名をとって「ダルクローズ音楽法(Dalcroze Eurhythmics)」とも呼ばれます。

ダルクローズは、若干27歳でジュネーブ音楽学校の教授となりました。そこで、多くの和声楽を学ぶ学生たちが、和音を聞き取るソルフィージュの能力を正しく身につけていないことを知ります。

ダルクローズは音楽表現には、楽器を正しく弾く能力だけではなく、幼児期に様々な体験を通じて和音に触れ、耳から和音のつながりについて訓練することが音を聴く力を育てること。
また、リズミカルな音楽的感覚を養うには、身体全体の筋肉と神経の働きの高まりが必要だと考えるようになります。

こうして始まったのが、リズム運動を取り入れて、音楽を聴く・歌う・演奏するといったリトミックの音楽教育です。
音楽を演奏する上で欠かせない表現力の土台。その基礎を作るために、身体を動かす経験を通じて音楽の力を高めていく指導法が、リトミックのはじまりです。

幼児教育としてのリトミック

もとは音楽教育として考え出されたリトミックですが、現代では幼児教育をはじめ、音楽療法や障害児教育の場でもリトミックの考え方は広く取り入れられています。

とりわけ幼児教育の場においては、子どもの音楽的感性を早くから育てるだけでなく、音楽に触れ身体で表現することで、感受性を豊かにする情操教育としてリトミックが取り入れられているケースも多いです。
また、音に合わせて身体を動かすことで、反射神経や集中力を高める効果も期待できます。

幼児教育としてのリトミック

大手の音楽教室でも、0歳から未就学児を対象としたリトミッククラスを開講しています。

小さい頃から楽譜や楽器よりも先に、耳と身体全体を使って音楽に触れることで、和音を正しく聴き取れる聴力を育てること。
また、リズムを正確に把握する音楽的要素の基礎を築くだけでなく、喜びや悲しみといった感情を音にのせて表現する、音楽的感性を養う土台作りをリトミッククラスの目的としています。

リトミックのクラスでは、実際に何をするの?

では、子どものお稽古事としてのリトミッククラスでは、どんなことをしているのでしょうか?
年齢によってレッスンの内容は異なりますが、代表的なものをみてみましょう。

  • 音楽に合わせて、動物や乗り物をからだで表現する
  • 音楽に合わせて動く
  • 音楽以外の想像力を育む工夫

音楽に合わせて、動物や乗り物をからだで表現する

子どもは、なにかの真似をするのが大好きです。
身近な大人の仕草を真似ることから始まり、3歳をすぎてくると、動物や物語の登場人物になったり、想像の世界で何かになりきって遊び始めます。

リトミックのクラスでは、音楽に合わせて猫や犬になったり、海の波や自動車の動きをします。
音楽を感じ身体を動かすことで、音楽の背景にある感情や物語を演奏を通じて表現する、豊かさの土台を育みます。

音楽に合わせて動く

音楽に大切なのはリズム。
うれしい音、楽しい音、悲しい音、激しい音。リトミックのレッスンでは、さまざまな音楽にあわせて身体を動かします。
この音楽が流れている間は歩く、このテンポになったら走るなど、音に合わせた特定の動きをすることを「即時反応」といいます。

音を聴き分け、動きに変化をつけることで、身体がリズムを覚えていきます。
2拍子・3拍子というリズムの変化や長調・短調など複雑な音楽を聴き取れるようになります。

リトミックは音楽に合わせて動く

音楽以外の想像力を育む工夫

幼児教育としてのリトミックでは、音楽的な素地を伸ばすことだけでなく、子どもの持っているあらゆる能力を引き出すことを目的としています。

自己表現やリズミカルな動きを覚えるだけでなく、お絵かきや工作といった音楽以外の遊びを取り入れることで、子どもの創造力や知的好奇心を伸ばしているリトミック教室もあります。

人間力を高めるリトミックの3つの魅力

  • 0歳からでも気軽にママ・パパと参加できるリトミックレッスン
  • 競争や順位がない、自分の力を伸ばすことに集中
  • リトミックは音楽力だけではなく、人間力も育てる?

0歳からでも気軽にママ・パパと参加できるリトミックレッスン

赤ちゃんが生後数カ月のうちは、荷物が多かったり、お昼寝の時間を気にしたりとお出かけするのも大変ですよね。
かといって、家に赤ちゃんと籠りきりというのも気が滅入る時もあります。

習い事など「出かける理由がほしい」と感じるママもいるでしょう。
しかし生後数カ月からの習い事といっても、選択肢は限られます。

ベビー&ママのヨガクラスやベビースイミングなどもありますが、運動するのはそこまで……という方もいらっしゃいます。
リトミックは早ければ、首が据わったぐらいの月齢から参加可能。レッスン時間も1回30分前後と短く、赤ちゃんの負担になりません。
親子で参加するため、人見知り・場所見知りの赤ちゃんでも安心です。

リトミックは赤ちゃんから可能

リトミックは親子でスキンシップをはかりながらのレッスンが多く、歌や手遊びも取り入れ、ママ・パパと一緒に楽しむことができます。
知らない音や楽しい音楽、親子で身体を動かすことで、赤ちゃんの脳の発達にも良いこと尽くしです。
リトミックなら親子で気負わず参加でき、ママ・パパのリラックスタイムにもなるでしょう。

競争や順位がない、自分の力を伸ばすことに集中

ほかの習い事のように、リトミックには誰が一番上手かという順位がありません。
競技のように競い合うこともしません。
音楽を通じて、自分を表現したり、時には周りと力を合わせて身体を動かすことを覚えていくレッスンです。

言葉を覚え、身体が自由に動かせるようになってから、子どもがお友達と歌ったり踊ったりする姿に、音に触れることの喜びとすばらしさを感じます。
言語や文化を超えたコミュニケーションである音楽。
リトミックは、音楽の純粋な楽しさを教えてくれる習い事なのです。

リトミックは音楽力だけではなく、人間力も育てる?

音楽教育法としてはじまったリトミックですが、その根本は人間が感じる心を豊かに表現するという点にあります。
リトミックで得られることは、リズミカルに身体を動かしたり、音を聴き分けることだけではありません。

楽しい音・悲しい曲・激しいメロディ。音に合わせた感情を体で表現することで、

  • 自分の心が何を感じるのか
  • 感じたことを、どんな表情や言葉で相手に伝えるのか
  • 相手は何を伝えようとしているのか

音楽を通じてコミュニケーションを学ぶこと、心を育てることにもなります。

リトミック体験談

我が子が3歳の時にこんなことがありました。
娘が通う幼稚園は、リトミックでは大変定評があります。

「学芸会」というイベントはなく、ある物語を音楽に合わせて日々、自由に表現するのを「今日はお母さんたちが見に来る日」と見せる場が設けられます。
「普段の様子を父母が見るだけの日」という設定です。

学芸会ではなくリトミック発表会

その日以降も同じ曲目での遊びは続きます。子どもたちは自分の中でその遊びを深めていきます。

父母が見に来る日は子どもたちからすると本番も何もないのですが、その「親が見に来てプロのカメラマンが撮影する日」に、途中まで元気いっぱい表現をしていた我が娘が突然固まって動かなくなるということがありました。

私は平静を装いながらも内心どきどきして、後半どんな内容だったか全く記憶に残りませんでした。

そんな私を見て担任の先生が声をかけてくださいました。

「いつもは元気いっぱいやっているのですが……」
ハイ……
「まあ、でも今日の○○ちゃんはああいう表現だったということなので」

え~~~? そんなまとめ方ですか? DVDに残るのに?

少しショックを受けて帰り、本人になんと声をかければよいのか、DVDは買うべきなのか、娘に見せて良いものか、いろいろと悩みました。

しかしその後娘の心は大きく成長しました。

リトミックは「表現」

私自身も、我が子がいつもにこにこしているということだけを「良し」としていたのではないかと気が付くことができました。
「DVDに残るのに」という思いも親の勝手以外の何物でもありません。

3歳の娘が誰にも邪魔されることなく立ち止まって考えている姿を目の前で見ることができ、今では本当に貴重な経験だったと感じています。

これがもし「学芸会」だったら、決まった動き、決まった言葉を言うことに精いっぱいで、何かを考える余裕はなかったでしょう。

「学芸会」は「パフォーマンス」です。
お客様(父母)にどう見せるかを重視します。

反対にリトミックは「自由な表現」を尊重します。
自由だからこそ、娘は周囲を気にすることなく立ち止まることができたのでしょう。
リトミックが目には見えにくい心の成長を大切にしていることを感じられた出来事でした。

太陽に照らされて光る木々の木漏れ日
雨上がりに空にかかる虹の色とその鮮やかさ
秋の夕暮れ時に友達と別れて家路につく時の冷たい手
昨日のつぼみが花を咲かせていることに気が付いた時の高揚感

日常のささやかなシーンで、自分の心がいま何を感じているかに敏感になることが、その子の人生を豊かにします。
音を通じて自分を表現するという経験が、子どもの感受性を伸ばし、将来の可能性を広げることでしょう。

まとめ

音楽指導法としてのリトミックと聞くと、なんだか難しそうなイメージがあります。
しかし、音楽的な基礎を早くから身につけさせたい人だけでなく、想像力や集中力を高め、人間的な感受性を育むレッスンでもあります。

リトミックで音楽の感情表現を身体で学ぶことは、子どもが言語を学ぶことに似ています。
0歳の赤ちゃんにも豊かな表情、たくさんの言葉で話しかけてあげることが、子どもの発達に良いことを知っているママは多いでしょう。

おいしいものを食べた時、大人が「わあーおいしいね」と笑顔と弾んだ声のトーンで伝えることで、子どもはその口の中に広がる感覚が「おいしい」と表現することであり、心の中のこの感情がうれしいことである、ということを学んでいきます。
無表情で伝えるより、豊かな感情が子どもの中に芽生えます。

リトミックで芽生える子供の感情

リトミックも同じです。
楽器を演奏することに直接結びつかなくても、音のダイナミクスや表情の変化を身体を使って表現することが、より深く自分の心を感じ、自己表現できることにつながります。
そして音楽だけでなく、ダンスやバレエなど他の習い事やスポーツの基礎にもなるリズム感を身につけられる点も魅力です。

聴く・歌う・いろいろなリズムにのって身体を動かす。
耳や目から入ってくる心地よい刺激が、子どもの感情や情緒を高めていくことにつながります。
子どもが小さいうちは親子で一緒に「楽しむ時間」として、リトミックを始めてみるのもよいでしょう。
きっと、子どもの心を豊かにする一助となるはずです。

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