春は進学や進級で親も子もドキドキしていますよね!
「どんな先生なのかな」
「あの子と同じクラスになれるかな」
初めての登園や登校、進級などで環境が変化することにたいして、子供たちの小さな胸は期待や不安でいっぱいです。
期待だけではないので、不安が「いやだ」「行きたくない」という感情に結びつき、朝から泣いて登園登校を嫌がったり、「習い事をやめる」と急に言い出す子どもに手を焼くご家庭も少なくないでしょう。
「一時的なものだろう」「そのうちに慣れてくれるはず」と思ってはいても、想像を超えて嫌がられてしまうと「ほかの子はちゃんと行っているのに、うちの子だけ何でこんなに嫌がるの?」と、子供以上に親の方が不安になってしまいますよね。
ここでは登園・登校を嫌がる子供の気持ちやその対処法についてご紹介していきます。
目次
不安感の正体
- 緊張やストレス
- 寂しさや人見知り・場所見知り
- 成長不安
緊張やストレス
今までずっと一緒だったパパやママ、家族と離れて、初めての集団生活。
慣れ親しんだ先生やお友達と離れて新しい環境へ。
大好きなお兄さんお姉さんたちがいなくなり、自分たちより小さい子が入ってくる。
戸惑うことだらけで、緊張の連続と言っても過言ではありません。
大人でも初めての場所、環境、そして初対面の人とのコミュニケーション、役割の変化に、まったく緊張しない人は少ないです。
そうした変化は少なからずストレスとなり、「行きたくない」「家にいたい」という方向に逃げたくなります。
しかし、これはごく当たり前な反応と考えましょう。
一番ラクな場所にいたいと思うのは当然。むしろ「家が安心できる場所なのね」と喜べることでもあるのです。
寂しさや人見知り・場所見知り
慣れない場所に行き慣れない人と一日過ごすのは、決して楽ではありません。
幼稚園児くらいの年齢だと、泣いて嫌がる我が子を無理やり行かせるのはつらいもの。胸をえぐられるような罪悪感にも苛まれます。
しかし「これがずっと続くわけではない」と、あまり気にし過ぎないようにして、笑顔で送り出してあげましょう。
親がいつまでも心配そうな顔をしていると、子どもも「ママでも心配になるようなところに預けようとしているの?」と不安が増してしまいます。
子供によって違いはあるものの、いつの間にか泣かずに行けるようになります。
むしろ「あんなに行くのを嫌がっていたのに、今度は帰りたくないと泣くようになった」というケースもあるのです。
保育園や幼稚園では、そんなことを何度もクリアしてきたプロの保育士の方々が対応してくれるので、預けた後は何とかなるもの。
子供も親の姿が見えなくなると、意外とあっさり諦めて遊び始めたりするのです。
小学生や中学生も、新しいお友達ができたり、学級の中で役割を担ったり、少しずつ居場所を作っていきます。
成長不安
「変化への不安」は「成長不安」でもあります。
子供は、できることが増えていくことにも時に不安を感じます。
そういった不安を抱えながらも進み続けることは、子供が成長していく上で必要不可欠なことなのです。
慌てず焦らず、子どもの「不安な気持ち」に寄り添いながら、信じて見守る余裕を持てるようにしましょう。
園や学校を楽しくするもの
4歳くらいになると、他人の立場を考えられるようになってくるとともに、友達との関わりを楽しめるようになってきます。
また、学校が楽しく思えるかどうかは「勉強ができる・できない」よりも「友達と楽しく過ごせているか」の方が重要ではないでしょうか。
子どもの楽しい毎日には「お友達関係」がカギを握っていると言って過言ではありません。
「親がお友達を作るわけにはいかない」と思うかもしれませんが、種をまくことはできます。
「行きたくない!」と言われてしまう前に、子どもが楽しい園・学校生活を送れるよう、「いやだな」と思うことがあっても乗り越えられるよう、そして良いお友達関係が作れるよう種をまいていきましょう。
日ごろから我が子のお友達関係を把握する
お友達づくりの種まきには、保護者同士の繋がりが役に立つことも少なくありません。
子供の友達やそのお母様には積極的に声をかけたり、気軽に連絡を取り合えるママ友やパパ友を作っておくことをお勧めします。
また、一緒に遊ぶような時は、「ママ友との話に熱中しすぎて子どもたちの様子を見てなかった」という状況は避けて、子どもたちのやり取りにも意識を向けましょう。
特に
- お友達といるときの我が子の様子や性質
- お友達の性格
- 温かいやりとりができているか
なども観察するようにしましょう。
子供でも相性はありますし、無理に合わせようとしても本人がつらくなってしまいます。
我が子の家庭では見せない一面や、お友達の性格なども知っておくと、のちに役立つことがあります。
友達を作るきっかけづくり
子供が自分の力だけでお友達をうまく作れていないなと感じたら、お友達になるきっかけを作ることもできます。
- 一緒に遊ぶ
- 登園登校、下校降園を一緒にする
- お手紙交換をする
- 同じ習い事をする
一緒に遊ぶ
子ども同士、園・学校以外で顔を合わせて時間を共に過ごすと、「連帯意識」が生まれやすいもの。
すると学校で顔を合わせても「味方がいる」と安心しやすくなります。
大人数の中でいるよりも、意識を向けあうことでやりとりがより深くなり、意外な共通点を見つけやすいのは大人も子供も一緒です。
登園登校、下校降園を一緒にする
近所のお子さんと一緒に登校させたり、一緒に降園すると園・学校生活の中でも自然に話すことができるようになったりします。
友達と話すことでリラックスして、登園登校する前の心の準備ができるメリットもあります。
近所にいない場合は、友達が多く通る道を使うようにしてみてもいいでしょう。
お手紙交換をする
プレゼント(物品のやりとり)となると園・学校が禁止していたり、相手に負担をかけてしまうこともありますが、お手紙であればそういった心配はありません。
まだ字が書けなくても絵やシールなどでも楽しめます。
親が子どもに聞いて一言二言「こういうことを伝えたいようです」とメッセージを添えれば、相手の親がお友達に伝えてくれるでしょう。
まんべんなく渡さなければ……と気負う必要はありません。
1年の間にクラスみんなにお手紙渡そう、でもいいですが、我が子が気になっている子に渡すということで良いでしょう。
「誰とでも仲良く」というのは理想論であって、小さな子供であっても実は難しいものです。
もし強い嫉妬から誰かに意地悪をされてしまっても、必要以上に嫉妬するようなお友達とは距離を置くことを覚えるのにも良いチャンスです!
将来的に「いじめ」に巻き込まれないことにもつながります。
手紙は、「あなたのことを意識しているよ」「仲良くなりたいな」「大好きだよ」という気持ちを温かく伝える良い手段です。
同じ習い事をする
お友達のために習い事をする――例えば「どうせスイミングに通っているのなら、学校のお友達と同じ曜日にしてみる」など、そういったところでも十分効果はあるでしょう。
「一緒に遊ぶ」のと一緒で「園・学校以外で顔を合わせ、体験を共有する」ことで「連帯意識」が高まる効果があります。
ただ、あまり同じ子に狙いをつけすぎると、相手の親が不快感を持つリスクなどがあるので、あくまで自然な演出を心掛けましょう。
それでも行きたくないと言われたら?
「行きたくない」と本格的に嫌がる場合は、ママも立ち止まって原因をよく考えてみましょう。
- ただ疲れているのかな?
- 友達と喧嘩したのかな?
- 何かうまくできないのかな?
- 授業についていけてないのかな?
4、5歳にもなると嘘をつくようにもなるので、子どもに問い詰めるのはほどほどにして、担任とも相談しながら原因を探っていきましょう。
原因がわかれば対処もできます。
原因がないのに「なんとなく行けない時」チェックする5つのポイント
原因が特にないのに、なんとなく行きたくないということがあります。
小学生にもなれば「サボるとラクだな」という発想が出てくることもあります。
まずは基本的生活習慣の見直しをしましょう。
- 早寝早起きしていますか?
- 寝る前にテレビを観たり、ゲームやスマホをしていませんか?
- 朝ご飯を食べていますか?
- 良い便が出ていますか?
- 栄養バランスの良い食事がとれていますか?
これらは自律神経やホルモンが正常に働くようにするために大切なことです。
そして、小学生であれば、同じクラスの友達にお願いして一緒に行ってもらったり……。
それも効果がないようであれば、最初は学校まで一緒に行き、その後は時間をかけて少しずつ一緒に行く距離を短くしていきます。
手間がかかるかも知れませんが、車などは使わず、必ず一緒に歩いて登校しましょう。
甘やかすということと甘えさせるということは違います。
「行きたくないなら行かなくていいよ」「疲れているなら車で行こうか」というのは我が子の心や体を弱らせるリスクもあります。
また、小学生になると登下校を含め、様々なことを自分ひとりでやらなければなりません。
それに戸惑っている子供も少なくないでしょう。
個人差はあってもひとつひとつできるようにしていくために、「なんでできないの」「こうすべき」と言いたい気持ちはわかりますが、一緒に工夫したり柔軟に対応する姿勢が大切です。
長い休みのあとも要注意
園や学校に「行きたくない」と嫌がる時期は入園・入学当初の4月だと思われがちですが、ゴールデンウイーク明けや夏休み明けなどに見られるケースも少なくありません。
長い休みが入ることで家にいる時間も長くなり、入園・入学前の状況に戻ってしまいやすいのです。
しかし、この場合も時間が経って普段通りの生活パターンが戻ってくると、そのうち嫌がらずに通えるようになるケースがほとんどと言っていいでしょう。
大人の場合でも長めの連休明けは「仕事に行きたくない」と思うものなので分かりますよね。
休み明けの「行きたくない」を防ぐには、上記の「生活習慣」を休み中も心掛けることです。
特に起床時間です。いつもより2~3時間朝寝坊し、夜更かしもするようになってしまうと、体内時計を戻すのに時間がかかってしまします。
そして長い休み明けの「行きたくない」には、時折大きな原因が潜んでいることもあります。
いじめの可能性や、スマホなどを持って友達と頻繁に連絡を取り合っている場合は、連休中にトラブルが起きている可能性もゼロとは言えません。
その時になって慌てないよう、子供の様子を日頃からしっかり見ておくことが大切です。
子どもとスマホについては、こちらの記事もご参照ください。
「子どもがスマホを欲しがったときにチェックすべき5つのこと」
安心感が子供を強くする
園や学校でのその日の様子を聞くことも忘れないようにしましょう。
話すのがあまり得意ではなく、なかなか話してくれないタイプの子供もいますが、無理のない範囲で聞くことが大切です。
このときに重要なのが、表情を見ながら話を聞くこと、
そして「話しなさい」という雰囲気ではなく「なんでも聞くからね」という受容の姿勢です。
しっかり向き合って話を聞いてくれる人・自分を受け入れてくれる人がいることで、子供の安心感も大きくなり、不満や不安が軽減されます。
園や学校では大勢の中のひとりであるものの、家では自分が主役。
感情を抑制せず、素直に出せる居場所を必ず確保してあげられるよう心がけましょう。
いじめの可能性も否定できない場合まずは担任に相談を
登園・登校を嫌がるケースで、一番心配なのが「いじめ」ですよね。
ある程度年齢が大きくなると、「相手が嫌がる」と分かっていて行ういじめが中心ですが、幼児から低学年の場合はそこまで意識せず、知らず知らずのうちに相手を傷付けてしまっているケースが多くなっています。
ほとんどの場合、後々の関係にまでヒビが入るような深刻な事態には発展しませんが、嫌なことをされた側にとってみれば簡単には割り切れない感情も残ります。
決まった相手からしつこく嫌がらせを受けているようであれば、担任の教師や保育士に相談してみることをお勧めします。
幼い頃は、自分が嫌なことをされてみて初めて「これはいけないこと」だと学びます。
その繰り返しを積み重ねることが、大人になっていく上で非常に重要な経験だと言っても過言ではないでしょう。
「バカ」という言葉ひとつを取ってみても、その言い方やシチュエーション、相手の受け取り方などによって、愛情にもなりいじめにもなります。
「自分はこう感じたからといって、みんなも同じだとは限らない」
「自分がされて(言われて)嫌だったことは、他の人にもしてはいけない」
ということを伝え続けるようにしましょう。
子どものいじめについては、こちらの記事もご参照ください。
「いじめ経験90%以上!? 子どものために親ができることとは?」
子供の試練は親の試練
登園や登校を嫌がるようになった時は、その時期やきっかけが何であるかを考えてみてください。
そのほとんどどは一時的なもので終わることが多いので、あまり深刻になり過ぎないことも必要です。
不安や不満を聞いてあげるのはもちろんですが、「頑張っているね」としっかり抱きしめて安心感を与えるようにしましょう。
子供にとって外の世界は試練の連続。
価値観や子育てのポリシーには個人差もありますが、何でもすぐ先回りするように手助けするのではなく、見守る姿勢が大切です。
それは親にとっても試練です。
ひとつずつ一緒に乗り越え、涙あり笑いありの充実した子育てを楽しんでいきましょうね。