「モンテッソーリ教育」をご存知ですか?
モンテッソーリ教育の基本は、
「自立した子どもを育てる」
そこにある哲学は
「子どもはみずからを成長・発達させる力を持って生まれてくる。
おとな(教師や親)は子どもの発達段階に応じてその要求をくみ取り、自由を保障し、子どもたちの自発的な活動を援助する存在に徹する」
というものです
このモンテッソーリ教育の内容と、使われる教材・教具についてご説明します。
目次
モンテッソーリの教師になるには?
モンテッソーリの教育を学んで教師となるには最低4年かかります。
大学を卒業するのと同じくらいの学びをモンテッソーリに特化して学ぶのですから、結構な勉強量であることがわかります。
一見すると子どもたちが自由にしたいことをしているように見えるモンテッソーリですが、実は教師の関わりがとても重要です。
ただ「見守る」だけでは自由遊びと変わりません。
教師の絶妙な働きかけや言葉かけをヒントにして、学びを深め、次の学びに導かれていくのです。
そこで、教師がどこまでモンテッソーリを理解し実践できているかが大切です。
ブームに乗ってモンテッソーリを掲げた幼児教室や園が増えてきていますが、体験に行った際には教師の質をしっかり見極める必要があります。
モンテッソーリ教育を受けるとどんな人になるの?
モンテッソーリ教育を受けた有名人を挙げるとすると、やはり棋士の藤井聡太六段ではないでしょうか。
世界を見渡せば、
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグ、ウィキペディア創始者のジミー・ウェールズ、Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、そしてあのビルゲイツ、ピーター・ドラッカー、トーマス・エジソン、アンネ・フランク、ヘレン・ケラー
華やかなセレブの中では、
ジョージ・クルーニー、ヒュー・グラント、テイラー・スウィフト、ビヨンセ・ジゼル・ノウルズ
政界も見てみましょう。
オバマ元大統領やクリントン元大統領、ヒラリー・クリントン、ジャクリーン・ケネディ(ジョン・F・ケネディ元大統領夫人)
このそうそうたる顔ぶれを見ていると、モンテッソーリ教育が目指す人物像
「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間」
そのもののように思えます。
ここで誤解がないようにしたいのは、
モンテッソーリ教育が天才を作るということではない
ということです。
才能の芽を摘まない、原石の磨き方を本人に気が付かせるという解釈が近いと思います。
できることなら、我が子には充実した人生を送ってほしいですよね。
そのためにはモンテッソーリ教育をとりいれていくこともその一助になりそうです。
モンテッソーリで使う教具とは?
モンテッソーリ教育では、子どもは全力で動きながら体験し、与えられたものではない能動的な興味と知的好奇心で活動を行います。
その活動を5つの分野に分けて、それぞれの分野にそって開発された教具があります。
モンテッソーリ5つの分野とその教具
- 日常生活の練習
- 感覚教育
- 言語教育
- 算数教育
- 文化教育
日常生活の練習
自分のことを自分でできるようになるために必要な力を身につけるために、子どもサイズではあるものの「本物」を使います。
例えば、様々な段階のひも通しに慣れると、本物の針と糸を使って「縫いさし」をします。
服を自分で脱着できるようになったら、ボタンの脱着、衣類を畳む、洗う、絞る、靴ひもを通すなど生活に必要なことを身につけます。
食事の前後、テーブルを拭く。台ふきんを洗って干す。
野菜を洗って茹でて切って箸で食べる。食器(陶器)を洗って拭いて片づける。
三つ編みを編んだり、はた織りをしたり。
子どもサイズではあるものの本物のグッズが子どもたちのやる気と自信を引き出します。
感覚教育
円柱差し、長さの棒、茶色の階段、ピンクタワー、色付き円柱、触覚板、二項式、音感ベルなど。
五感を使って、感覚器官から入ってくる情報を整理して分析することは「知性」の基盤であり、モンテッソーリではこの感覚教育を一番大切に考えています。
ひとつひとつの感覚器官を独立させて刺激する工夫が凝らされた教具が揃い、そしてその感覚器官を統合していく流れがあります。
以下の3分野は「感覚教育」を基盤にして、それぞれの能力を発展させていきます。
言語教育
メタルインセッツ、絵カード、文字並べ、なぞり文字。
モンテッソーリでは文字を読むことより、まず書くことを先に取り組みます。
例えば「メタルインセッツ」は一見すると図形の教具に見えますが、図形に沿って鉛筆を運ぶ練習は、字を書く前の段階の「書き方」を習得するものです。

『メタルインセッツ』は、このような図形をなぞるための教材※写真はイメージです
読むことは「抽象」、書くことは「具体」です。
モンテッソーリではまず「具体」から入っていきます。まだ読めないうちから、ひらがなをトレースしたりもします。
算数教育
算数棒、砂絵字板、十進法の教具、かけ算版、数字と玉。
モンテッソーリでは「ある時突然、算数教育が始まるのではない」と考えます。
感覚教育の中で体験的に「量」を知り、算数につなげていくのです。
算数棒は、前段階の感覚教育で身につけた「数値にならない量」を「数字」という言葉で捉えていきます。
このように教具に先につながる要素が盛り込まれていることを「鉤(かぎ)の手の原理」と呼び、経験が分断されることなく知性を形作していきます。
文化教育
時計、植物や動物の部分の名称、世界の国旗、世界地図パズルなど。
これは単なる受験対策のためや「ものしり」になるための教具ではありません。
人と人の関わり、人と物の関わりなど「秩序」を知り、自分をも客体化して自然環境や社会環境の中でどのように関係を構築していこうかという意識の芽生えを、モンテッソーリでは「文化の敏感期」と呼び、日常生活の練習、感覚・言語・算数教育の上に掲げているものになります。
今まで受け身だった子どもが、主体的能動的にアイデンティティを見出していこうとする時期でもあります。
視野を広く持ち、社会性を身につけていくプロセスをサポートしていきます。
モンテッソーリは自宅で実践できる?
上記の教具は通信販売などで手に入りますし、手作りで用意することもできます。
中には100円ショップで手に入るものを上手に使って自宅でのモンテッソーリ教育に役立てている人もいます。
しかし先にも申し上げた通り、教師(=自宅ならおうちの方)の関わりが大切になってくるので、教具だけ与えておけばOK!というわけにはいきません。
自宅でのモンテッソーリ教育に向いている家庭
- おうちの方に時間的精神的ゆとりがある
- 家族に工作上手、手先の器用な人がいる
- 子どもが思い通りに動かなくてもイライラせず対応できる
- モンテッソーリ教育関連の本を2~3冊は読み込める
以上のような家庭であれば十分に可能です。
しかし、これらが難しい場合や子どもがおうちの方と一緒だとどうしても教具に集中できないような時は、教室やモンテッソーリ教育のできるシッターなどを探すのが良いでしょう。
モンテッソーリが一番大切にしているのは0~6歳です。
モンテッソーリに限ったことではありませんが、人生のうちで大切とされるこの時期に、子どもに寄り添った働きかけをしてあげたいですね。