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英語だけじゃない! 外国語お教室事情
インターネットが普及して世界中の音声動画が手に入るようになり、この20年で他の国の言語に触れる機会がぐっと増えました。
日常生活の一部として「海外」をネットで見聞きする子どもたちにとって、外国語はずっと身近に感じるものだと思います。
そんな子どもたちの習い事。
英語のお教室の人気はここ数年、上昇中です。
そして、世界2位の経済大国である中国の影響を受け、新たな習い事として中国語も人気を集めています。
英語か中国語か、それとも両方? 子どもの習い事に外国語を選ぶ際、参考になるポイントについてまとめました。
英語と中国語、どちらが話す人口が多い?
言語を学ぶとき、ひとつ参考になるのは、母国語としてその言語を話す人口数です。
その言語の話者が多ければ多いほど、読み書きできたり話すことができれば、活用できるチャンスが多いということになります。
文部科学省による「世界の母語人口」によると、第1位は中国語(8億8500万人)、第2位が英語(4億人)です。
その差は約2倍で、中国語の母語人口のほうが4億人ほど多い統計となっています。
単純に計算すれば、英語を学ぶより中国語を学ぶほうが2倍のチャンスがあることになります。
世界の母語人口(上位20言語)※文部科学省 公式サイトより
母語人口(単位:100万人) |
中国語(885) |
英語(400) |
スペイン語(332) |
ヒンディー語(236) |
アラビア語(200) |
ポルトガル語(175) |
ロシア語(170) |
ベンガル語(168) |
日本語(125) |
ドイツ語(100) |
中国語のお教室ってあるの?
同じく文部科学省の調査では、小学生の習い事の種類として、「外国語」は5位。実に15パーセント以上の小学生が習い事に外国語を選択しています。
30人いるクラスで、そいのうち約4~5人が言語の習い事をしている割合になります。
塾や習い事の内容 ※文部科学省 公式サイトより
平日(%) | 休日(%) | |
塾 | 45.4 | 25.9 |
スポーツ | 45.5 | 57.6 |
楽器演奏 | 24.3 | 10.0 |
習字 | 16.6 | 6.5 |
そろばん | 6.3 | 3.1 |
画を描く | 2.2 | 1.1 |
外国語 | 15.8 | 5.5 |
その他 | 6.4 | 6.9 |
これが英語の習い事と推測すると、一昔前よりはずいぶん多い印象です。
英語の習い事といえば、幼児期の早期英語教育の流れはすでに多くの親の間で気になるところ。
一方で、中国語はどうでしょうか?
以前は中国語というと「ビジネス用に学ぶ」というイメージでしたが、最近では子ども向けの中国語教室も増えてきています。
ネット検索で「子ども 中国語 教室」と入力すると約3,650,000件のページがヒットします。
ある教室では、幼児向けクラスは対象年齢6歳~12歳、1回のレッスンは50分で、月謝が教材費を入れて約1万円。グループレッスンで8人ほどの少人数制となっています。
語学力を伸ばすことに力を入れたい場合は、マンツーマンレッスンという選択肢もあります。45分前後のレッスンで諸経費等含め、1回の受講費が1万円ほど。
子どもの習い事といっても本格的に学びたいという方が対象です。
英会話の幼児のグループレッスンでも月謝が1万円前後のところが多いことを考えると、中国語もそれほど違いはありません。
ただ、英語は未就学児を対象にしている教室が豊富なのに対して、中国語の場合は数が限られています。
英語? 中国語? 子どもの未来のフィールドはいかに
では、「英語」と「中国語」。この言語で活躍できるフィールドはどんなものでしょう?
中国語は何と言っても世界最大の人口を抱える貿易相手国です。各国が13億人の巨大マーケットを狙って、ビジネスの拡大を図ろうとしています。
近年、アジア圏ではオセアニアのワインが人気です。
そのため、オーストラリアやニュージーランドのワイナリーでは、中国でのシェア拡大に向け中国語ができるマーケティング担当を採用します。
経済大国を相手にビジネスチャンスを得ようと考えると、中国語の可能性はまだまだありそうです。
一方、英語は言わずもがな世界に出ていく時の必須ツールです。
そしてそれは、スポーツ選手や有名人だけに限った話ではなく、美容師やシェフ、電気技術師や建築家など他の職種にもあてはまります。
知識と経験がある人は、英語ができればどこの国でも活躍できる時代になっています。
中国語と英語、どう役立つ?
大学で外国語を学んだ人に、中国語と英語、言語の取得がどんな風に役立ったか聞いてみました。
ひとりはAさん、30代半ばで、貿易会社で通訳や事務の仕事をしています。
大学で中国語を専攻、在学中に台湾に半年留学経験があります。
もうひとりはBさん、30代前半で、シンガポールで証券マンとして勤務。
高校時代に1年のアメリカ留学を経験し、大学でも英語を学びました。
――おふたりとも外国語を習得していますが、いつから学んでいますか? そしてきっかけは何でしたか?
Aさん「きっかけは高校時代の漢詩の授業です。ある漢詩がとても優雅でキレイでどうしても中国語でその漢詩を音読したいと思ったからです。学び始めたのは中国語が専攻できる大学に入学してからです」
Bさん「小学校の時に、歌とか踊りで英語を学ぶレッスンに通っていました。あとは中高の授業ですが、使えるようになったのは高校時代の留学生活ですね。英語で海外の人と話すのが面白いなと思い、大学でも本格的に英語を学ぶことにしました」
――大学で学んだ言語は、仕事にどう役立っていますか?
Aさん「会社内には英語のほうが得意というスタッフもいるのですが、中国語でやりとりするほうが、現地の人の反応がよいように感じます。仲間意識というか、トラブルの時などより親身になってくれますね」
Bさん「金融の分野で働いているのですが、仕事に関連する最新ニュースはまず英語で発信されます。情報収集のスピードが、英語ができるかどうかで違うことですね」
――英語と中国語、言語を習うならどちらを子どもにすすめますか?
Aさん「中国はわたしにとって第二の故郷のようなものです。仕事では中国語をよく使う反面、英語ができたらもっと便利なのに、と思う時はあります。自分の子どもに習わせるなら……両方とか(笑)」
Bさん「子どもが大きくなって自分で選べればいいんじゃないかな。個人的には中国語に興味はあるけど、仕事で英語しかできなくて困ることはあまりないですね。取引先の方が中国人であろうとフランス人であろうと、相手も英語を話してくれるので」
こうしてお話を聞いてみると、英語は世界の共通語と言われるだけあって、第二外国語として英語を話す人口がたくさんいます。そのため、英語で話せる人数は、統計でみた英語母国語人口よりもさらに多いと言えます。
一方で中国のように英語以外の言語が公用語の場合、その国の言語ができるほうが、働いたり住んだりする際の助けになりそうです。
親が焦る必要はありません
周りをみてみると、これからは何か外国語ができないと、と焦る気持ちもありますよね。
ただ、幼児期に外国語に触れる時間が多ければ、「発音の聞き分け」というメリットがある一方で、母国語(日本語)の習熟度と外国語の習い事のバランスが大事になってきます。
幼児期は言語に触れる楽しさを感じ、遊びを通じて言葉を吸収していけます。
「外国語を学ぶ」イコール「ネイティブ並みに使える」と親が身構える必要はありません。
アニメや映画に興味を持ったから、学校で外国のお友達ができたから、など生活の中で外国語を学ぶきっかけを見つけられるとよいですね。