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いじめ経験90%以上!? 子どものために親ができることとは?

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月曜日や新学期に、園や学校に行きたがらない……
よく持ち物がなくなったり壊れたりしている……

このようなことがあると「もしかして、いじめられている?」と心配するママもいらっしゃることでしょう。

国立教育政策研究センターの調査によると、いじめの被害者になった経験のある子が90%、逆に加害者側になった経験のある子89%いるそうです。
今や子どもの9割がいじめを経験することからも、いじめ自体を避けて通るのは難しく、子どもたちがいかに深刻な問題・深い傷にならないように乗り越えられるか・子どもたちを乗り越えさせるかが大事になってきています。

いじめに遭った我が子を、どうケアしていきますか?

いじめとは何か?

いじめの問題ということでいうと、1970年代から徐々に教育関係者の間で取り上げられるようになりました。
はじめめは「暴力」や「非行」の一部として扱われていましたが、その陰湿さや性質の違いから1980年代には「いじめ」は一般的な暴力と一線を画す問題行為であると認識され、防止策がとられるようになりました。
これによって「認知件数」は減少します。ところがのちにこの数が実数(=発生件数)を把握していたのかは疑問視されるようになりました。
陰湿・巧みで認知の難しいいじめが増加したことや、被害者と加害者が入れ替わるいじめなどの増加により、今でも正しい数の把握は困難とされています。

そもそも「いじめ」とは何でしょうか?

国立教育政策研究センターの発表によると、

  • 行為の中心は「意地悪な態度」や「否定的な態度」といった、一見些細な事。
    一般的な暴力と異なり、行為自体の問題性は弱いことが多い。(肯定的に受け取られることもある。ただしそれが執拗に繰り返されたり集中したりすることで深刻な精神的ダメージを与える。)
  • 見咎められても「本気ではない」「軽い気持ちで」と言い逃れできる程度の行為。
  • 相手の尊厳を傷つけることが目的なので、殴る蹴るなどの暴力は不要。
  • 相手の短所や非を責める形で行い、加害者側も罪悪感が軽減される。そのため誰でも参加しやすく広がりやすい。

そしていじめには発覚を逃れる工夫があります。

  • 第三者や大人の目に触れにくい場所
  • 第三者や大人が気づきにくい方法
  • 気づかれても言い訳できる方法
  • 相手の非(事実)を責める方法

こういった場所や方法を使うことによって発覚を免れるのです。
スマホが普及するにつれて問題となっているチャットアプリ「LINE」も、やはり大人が把握しにくい場所です。

いじめに対する国の取り組み

文部科学省が施行した「いじめ防止対策推進法」による新定義(平成25年~)は、次のとおりです。

『個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立って行うものとする。「いじめ」とは、「児童生徒に対し、当該児童生徒が在籍している等当該児童生徒と一定の人間関係のある他の児童生徒が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」とする。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。』

これは分かりづらいですよね。要点をまとめると

「いじめ」を一方的かどうか、継続的かどうか、深刻かどうかなど表面的・形式的に判断するのではなく、当該児童生徒の立場に立って判断するということ

です。さらに「インターネット」についても初めて明記されました。

普段の言動には注意したいですねそして、いじめ防止対策推進法の規定では「ごく初期段階のいじめ」「好意から行ったが意図せず相手を傷つけたケース」もいじめの認知件数に含めることとされました。

これは些細な行為を見逃した結果起こる自殺などの重大な事態を防ぐためで、より「受けた側の感じ方」を尊重する規定です。

ちょっと気の強いお子さんのママからしてみると、いつ「加害者」になってもおかしくないということにもなりますが、普段から「自分の言動に対して相手がどう感じているか」を考える力を養っていきたいですね。
また、自分の子どもが苦痛を感じている時に「それはいじめだ」と断言できるようになったということでもあります。法的な知識は時に家族を救いますので、最新の情報を頭に入れておいてくださいね。

いじめはいつから始まるのか?

いじめは小中高生のものだけではありません。最近は幼稚園や保育園に通う幼児たちにもいじめの萌芽が見られることがあります。
自我がぶつかりあうこの頃の子どもの喧嘩や自己主張は仕方ないのですが、そういったおとなの認識をかいくぐるようにして幼いながらに「相手の尊厳を傷つけること」を目的にするような行為が見られることがあります。

加害者側にせよ被害者側にせよ、「あれ、うちの子おかしいな?」と思ったら、「まだ4歳だし」などと見過ごさず早めに対処していきましょう。

なぜいじめるのか?

いじめる側にいじめる原因を聞いても、ほとんど解決にはならないそうです。
それでは「なぜいじめるのか」を深層心理で考えると、以下の3つの理由が挙げられます。

  • 人間の本能
  • ストレスの発散
  • 傷ついた自我の回復

人間の本能

  • 自分の力を誇示することの快感
  • 自分の言動で相手が右往左往するのを見るのが楽しい

ストレスの発散

  • 他者を攻撃して発散
  • 子どもの場合、ストレスの原因は自我が傷つけられることであることが多い

傷ついた自我の回復

  • 他者からの評価が自己評価と比べて低いことに傷つき、それを手っ取り早く回復させるために他人を貶める。
  • 妬みや嫉妬なども自己評価が傷つくことで生じる。相手を貶めたり、苦しませることで解消。

こういう人たちは、大人でもいますよね。しかし大人になれば、こういった人との付き合い方や距離の置き方もわかってきます。
というより、子どもの時からの経験を糧にして習得するのだとしたら、まったく意地悪な人に遭わずに成長するのもかえって問題かもしれません。

我が子がいじめられる側になっていたら?

考えられる原因は取り除く

「相手の非を責める」ことがいじめのきっかけになりやすいので、そうなりえる要素があったら変えていきましょう。

  • 汚い→身体は清潔にし、使用感がありすぎる衣服などは処分する
  • 目つきが悪い→前髪を短くしたり、髪をまとめて顔にかからないようにする。姿勢が悪ければ改善させる
  • 暗い→機敏な動きや礼節を身につけられるような習い事を検討する

よくいじめの対象になっていた男の子は、少し太り気味で内向的な性格でした。そこで空手を習い始めました。
次第に体も引き締まり、内向的な性格は優しさとして発揮されるようになりました。
また、姿勢などから凛とした空気が伝わるのでしょうか、その後同級生からいじめられることがなくなったそうです。

客観的に見て子どもたちにいじめのきっかけを与えてしまいそうな要素は親が取り除いてあげましょう。

先生との連携

はじめは、「こういうことがあり気になっています。子どもの様子を観察していただいて、おかしなところがあれば教えてください」というような相談の仕方をしましょう。
学校や先生を疑ったり責任をおしつけるような言い方は逆効果です。

また、園や学校と関係のないコミュニティ(親戚間や親子で仲の良いグループなど)でそういった目に遭った場合も学校側に伝えておくと、子どもの様子を見ていただけるので、将来加害者側になるのを防いだり心に受けた傷についてケアしていくことが可能になります。

ほかの子と仲良くなるきっかけを作る

いつもと違うお子さんと遊ぶことも良いきっかけになりますその子にとっては仲良くしたいグループでも、そりが合わずつまはじきにされてしまうのかもしれません。
「そのグループだけがすべてじゃない」と気づかせるためにも、いつもと違うグループのお友達と親子で遊びに行ってみましょう。
共通の思い出ができたり話題が増えることで、園や学校でも関係を持ちやすくなります。
また、習い事などで一緒になることでも連帯感が持てるものです。

我が娘が幼稚園の年少の時、年少で早くもいじめを受け、登園しようとするとお腹をくだしてしまったり嘔吐してしまったりする女の子がいました。
女の子のお母さんは思い詰めて、転園も検討していると打ち明けてくださいました。
そこで我が娘と4人で遊びました。同じ園の子がいないリトミックサークルに一緒に行ったり、降園後におやつを食べたり。
娘の口からも「今日は○○ちゃんとおべんとう食べたよ」とその子の名が聞かれるようになってきました。

しばらくしてそのお母さんから「○○は最近△△ちゃん(いじめっ子)の名前を出さなくなったかわりに、園で楽しかった話を積極的にしてくれるようになって。体の不調もすっかりなくなった。」と聞きました。
園の先生に何気なく様子を聞くと、○○ちゃんと我が娘はおもちゃをとりあったり喧嘩はしているようですが、しばらくすると仲直りして遊んだりしているようです。これなら安心です。

幼いうちは特に、子どもの目先を変えてやるのも親の役割です。

育児の姿勢について振り返る

これは、いじめられる側や家庭に問題があるという意味ではありません。
いじめという敵から子どもを守るため、最悪な結果となるような深刻な状況に陥らせないため、些細だと感じる事も少し困っていることもなるべく早く子どもに打ち明けてもらう必要があります。
そのために、「子どもが小さいうちからできること」を2点に絞りましたので確認してみてください。

本人も困っていることに対して叱りすぎていませんか?

たとえば、
「おしっこを漏らした」「バッグを汚した」「服を破った」「ミルクをこぼした」「友達と喧嘩して泣かせた」……
幼児教育で”叱りすぎ”は禁物ですそういった、幼児であれば仕方のない失敗に対して親がいつも叱りすぎていると、子どもは本能的に叱られたくないと思い、そのうち「叱られそうなこと」を報告しないで済むようにし始めます。
故意かどうかは別として、「お友達に汚された、壊された」などそういったこともありのままを報告してもらえる親子関係があれば、早いうちに対処できます。  

子どもをちゃんと観ていますか?

早めに問題に気づいて対処するために、子どもを普段から「観察」しましょう。
これはいじめる側になってしまった場合も同じ事が言えますが、「なんだか最近イライラしている」「最近こんな癖がついた」「学校の話になると元気がなくなる」何かしらの変化が物語っていることがあります。
どんなに忙しくても我が子を「観る」ことは欠かさないようにしましょう。

いじめる側になったら?

「暴力」と違い「いじめ」をする子は表向き「いい子」が多いので、「まさかうちの子がそんなこと」と思うかもしれません。
しかし指摘を受けた時や、そういった兆候が見られたら早めに対処していきましょう。

我が子が過去にいじめられる側ではなかったか

もし人知れず誰かに何かされていた時期があったとしたら、その子自身が傷つき、その傷を癒すために他人をいじめているのかもしれません。
卒業した園に尋ねたりしてもいいと思いますが、本人に聞いてみてもいいでしょう。

子ども自身忘れてしまっていたとしても「もしママが気づけていなかったとしたら本当につらかったよね、ごめんね」と言われたら子どもはどう感じるでしょうか?
「ママが自分の味方してくれる」ことが癒しになることがあります。

生活環境や家庭環境

家庭で引越、離婚、親の転職など大きく変わったことがあったり、事件事故を目にした、そういったことは大人でも大きなストレスになり、心身に不調を抱えることがあります。
子どもも同じですが、問題はストレス解消の方法をあまり知らないということです。

ストレスのたまった子どもは、自分の髪を抜いたり(抜毛症)、食欲がなくなったり(拒食症)心身にサインが出ることもあれば、「いじめ」に出ることもあります。
習い事が多すぎたり、お受験などで自我を抑圧している場合も大きなストレスになります。

お子さんに「何かおかしいな?」というところが見つかったら・・・お受験を乗り切ったあとの小学校生活でその影響が出ることもよくあるようです。

おかしいなと思ったら、生活や家庭を振り返ってみましょう。
心身のケアの必要があれば、ゆっくり休養するようにしたり、スクールカウンセラーや市区町村の教育相談を利用するなどしましょう。

最後に

いじめが認知されるようになって半世紀あまり。いじめの判断基準も大きく変わってきました。
ちょっとしたことでも周りの大人が気づいてくれるなんて私の子ども時代を思い起こせば夢のようであり、でもちょっと迷惑のようでもあり……。
そして、いじめや意地悪な人は大人の社会にも存在します。大人社会では自分を自分で守っていかねばなりません。

「いじめ対策」は、臭い物にフタをするようなやり方ではなく、子どものうちに「意地悪やいじめをすると自分が傷つく、いやな気持ちになる」という良心を芽生さえ、「そんなくだらないことやめなさいよ」と言える子が増えていくように、園や学校がいじめと向き合っていくことも大切な気がします。

ある幼稚園では、問題が起こると子どもたちで会議を開き、どう思うか、どうすれば良かったかを全員で話し合うとのこと。
先生が「こうすべき」と上から言うことはしません。すると、そのうち子どもたち同士で問題を解決するようになっていくのだそうです。

幼稚園でも話し合いがいじめを解決するのではないでしょうか
たとえば、すぐに乱暴する子には「あの子は自分の思いを言うのが下手なので、あの子が怒ったら話を聞いてやろう」と皆で共有するのです。

大人社会は、こんなことができているでしょうか?
差異を排除するのではなく、共存共栄する方法を知っている大人が増えることこそが「真の平和」なのかもしれません。

【参考資料】
文部科学省「いじめ防止対策推進法」及びHP
国立教育政策研究所「いじめについてわかっていること、できること」

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