勉強・教育

子どもの発達障害とは? もし我が子が発達障害だったら・・・

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なぜこの子はこんなに落ち着きがないのだろう?
どうしてお友達を傷つけることばかりしてしまうのだろう?
子供と一緒に過ごすことが正直苦痛……
なぜこんなに育てにくいのだろう?

そう思う時、「もしかしてうちの子はどこかおかしいのでは?」という思いが脳裏をかすめることがあるでしょう。
そんな「何かおかしい」の陰に「発達障害」があることがあります。

発達障害とは

発達障害とは?

発達障害とは、生まれ持った脳の特質です。
つまり、発達障害はもともとその子が生まれ持っているもの。
“しつけ”や“育て方の問題”“愛情不足”などで起こるものではありません。

原因はとしては、遺伝的な要因や、遺伝子の何らかの異常だと考えられていますが、まだ完全には解明されていません。
また、最近では障害は「害」ではなく「ひとつの個性」と捉える動きもあり、「障がい」「障碍」と表記することもあります。

発達障害の分類

発達障害は大きく分けて、以下の3つに分類されます。

  • 自閉症・アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)
  • 注意欠陥多動障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

「自閉症スペクトラム(自閉症とアスペルガー症候群)」は、以前は

  • 自閉的傾向と知的障害をともなう「自閉症」
  • 知的障害を伴わない「高機能自閉症」
  • コミュニケーションを苦手とする「アスペルガー症候群」

とで別記載されていましたが、これらを統合して現在では『自閉症スペクトラム』と呼ぶようになっています。

「スペクトラム」とは、「症状などにあいまいな境界が複数ありそれらを連続体として捉える」という考え方で採用された言葉です。
では、これらの発達障害にはどのような特徴があるのか、詳しくみていきましょう。

発達障害の特徴

自閉症・アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム:ASD)

対人関係が苦手

相手の気持ちを考えることが苦手で、心無いような言葉を悪気なく言ってしまったり、その場の空気を読むことが難しく、場違いな言動・行動をしてしまったりすることが多いです。

他人に対する興味が薄いことから、呼びかけても気づかない、人が見たり指さしたりしたものに興味を示さないということもあります。
それは自分の親に対しても同じで、1、2歳など小さい時から親の顔を見ずに黙々と一人遊びをしたり、呼びかけに反応を示さなかったりということも多く見られます。

子どもの一人遊び

人間関係では、関わりが受動的で孤立したり、一方的に過干渉になったりと、うまく友達と遊んだり人間関係を築くことが難しいようです。

特徴的な言葉の発達

発語が遅いことや、発語があった後に急に話さなくなり、数か月後にまた急に話し出す、ということが自閉症スペクトラムの子供には多く見られます。

また、テレビや人の言葉をオウム返しする、同じ言葉を何度も繰り返し話す、独り言が多いなど、話し方にも独特な特徴が見られることが多いです。

こだわりが強い

自分の興味、関心のあるものに強く固執し、同じ遊びを延々と繰り返したり、好きなものの名称を機械的に暗記したりすることが得意です。

ルーティーンを好み、柔軟に対応吸することが苦手です。いつもと違う手順になるとパニックになることも少なくありません。
食べ物の好みにも強いこだわりを示すことが多く、白いものしか食べられない、ということもあります。

感覚が過敏もしくは鈍い

視覚や聴覚、触覚などの機能が一般的な人と違い、わずかな音や匂いに敏感に反応して嫌悪を感じることや、動きがぎこちない、細かい作業が苦手など運動面で苦手を感じることも多いようです。

反対に「感覚鈍麻」が見受けられることもあり、この場合は痛みや温度を感じにくかったり、大音量の中でも平然としていたりします。

動きが鈍い?痛みの間隔はある?

これらの症状は個々によって差が大きく、多く当てはまることもあれば、特定のものだけ当てはまることも少なくありません。

注意欠陥多動障害(ADHD)

多動、衝動の症状がある

この障害の一番の特徴は、落ち着きがないことです。
じっとしていることが苦手で、つねに体のどこかを動かしている場合もあります。

生活の中では、椅子に落ち着いて座ることが難しく、保育園・幼稚園・小学校など、先生の話しを聞けずに席を立って動き回ってしまう、という姿が目立つことが多いです。

衝動性でいえば、自分の感情や発言、行動などを抑えることが難しく、考える前にすぐに行動を起こしてしまいます。
たとえば、順番を守れずに横入りしてしまったり、話し出すと止まらなくなったり、思ったことをすぐに口に出してしまうといった行動が見られます。

集中力が続かず、注意散漫になる

とにかく、様々なことに興味が行ってしまうのが特徴的で、目的の事柄までに他のことに気が行ってしまうと、その目的を忘れてしまう、ということも少なくありません。
乳幼児であれば関心かうつるのは当たり前に感じますが、その度合いが違います。

たとえば、小学校への登校途中に気になることがあると、そちらに夢中になって遅刻してしまうということもあります。
集中力が長く続かない半面、自分の興味のあることに関しては、周りが見えなくなるくらい没頭してしまうことも少なくありません。

注意散漫になることから、忘れ物が多い、最後まで話が聞けずに不注意なミスが多い、整理整頓が苦手などといったことも多く見られます。

整理整頓が苦手な子ども

注意欠陥多動障害では、小さいうちから不注意、多動性、衝動性といった症状を抑える薬が処方されることもあります。
適切に薬を飲むことによって、落ち着いて授業を受けたり行動したりすることができることが多くなるようです。

ただ、この薬は根本的な障害を治すものではなく、一時的に改善させるものであり、食欲がなくなったり、だるくなったりする等、副作用も少なからず見られます。
そのため、医師と相談しながら有効的に使うことが推奨されています。

学習障害(LD)

知的な発達に問題は無いが、特定の学習方法が苦手

学習障害は、基本的な知的発達に問題が見られないため、小学校に入ってからわかることが多い障害です。
「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算」「推論」する能力のうち、特定のものの習得や使用に困難を示し、特に多く見られるのが「読字障害」「書字障害」「算数障害」です。
具体的には、

  • 耳で聞けば理解できるが、黒板に書いてある文字は理解できない
  • 読むことができても書くことが困難
  • 簡単な計算でも理解できない

という特徴があります。
そのため、学校生活においての学習が大変難しく感じることが多いです。

ただ、知的に問題があるわけではないので、アプローチの仕方によっては理解できることもあり、学習方法においても学校の協力があれば障害を補っていくことが可能なケースが多いようです。

発達障害かな? と思ったら・・・

これらの特徴を見て、「我が子は発達障害かもしれない」と思ったら、まずは発達相談の窓口を利用することが望ましいです。

発達障害は、早ければ1歳半検診、多くは3歳以降に検診や保育園、幼稚園での生活の中で指摘されることがあります。
この場合も発達相談窓口が相談の窓口となります。

発達障害の診療発達相談窓口は、区役所や市役所の子ども課などで問い合わせればすぐに教えてもらうことができます。
窓口で専門医を受診する必要があるとわかれば、ほとんどの場合、発達障害を診られる医療機関を紹介してもらえます。

もし紹介先の医療機関に行くのが困難な場合は、小児科、児童精神科、小児神経科などで診てもらえる場合もあります。
発達障害を診てもらえるか、かかる病院に問い合わせてから受診しましょう。

現在は発達障害への認識が高まっていることから、受診する子どもが増え、診断が順番待ちになっている医療機関も増えてきています。

発達障害だとわかったら?

専門医に発達障害だと診断された場合、早いうちから専門の支援・療育を受けることが望ましいです。
療育では、心理士、作業療法士、言語聴覚士など専門家の下で、その子にあった支援をしてもらえたり、支援方法を教えてもらったりすることができます。

発達障害は、様々な症状を併せ持っていることも少なくなく、その子にあった対応の仕方を学び、早くから生活に取り入れていきます。

適切な支援を早くから受けることによって、子供にとっても、また親にとっても日常生活や意思の疎通がしやすくなる可能性があります。
対処法を学び、実践していくことによって、本人や家族が発達障害とうまく付き合っていけるようになるのです。

そして、できるだけ保育園・幼稚園・小学校などにも診断結果を伝えて、有効な指導・支援をしてもらえるようにしていきましょう。
障害者手帳を交付された場合は、加配教員(非常勤の先生)をつけてもらえる可能性も高くなります。

「その子にしかできないこと」がある

発達障害のせいで我が子は就職や結婚ができないのではないかと不安になることもあるでしょう。
確かに発達障害がないに越したことはないのかもしれませんが、誰しも欠点や癖を持って生まれてくるように、個性の一つとして捉えて、発達障害とともに歩む道を探していくことが大切です。

ここで1人の例を紹介しましょう。

2017年12月に出版された『15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることから ぼくにしかできないことへ』(角川書店)の著者、岩野響さんは発達障害のひとつ『アスペルガー症候群』と診断されながら、15歳でコーヒー焙煎士となりました。

10歳でアスペルガーの診断を受け、中学生の時に不登校になった岩野さん。
このまま高校にも進学することもなく「ひきこもり」になってしまう可能性もあったことでしょう。

しかし岩野さんには類いまれなる「味覚」と「嗅覚」の持ち主でした。
小さな頃から微妙な調味料の違いもわかってしまうほどだったそうです。過敏な感覚も発達障害の特性なのですが、後にこれが岩野さんの強みとなっていきます。

偶然もらった小さなコーヒーの焙煎器、コーヒー界のレジェンドとも言われる大坊勝次さんとの出逢い、ひとつひとつの出逢いが彼に「コーヒー屋さんをやりたい」という夢を抱かせました。
そして2017年4月、15歳の彼は珈琲焙煎店『HORIZON LABO』(群馬県桐生市)をオープンしました。

自分にしかできないこと

このコーヒーが本当においしいのです!
瞬く間に広がって一時期行列ができて、焦った岩野さんはパニックを起こしたりもしました。
しかし、店舗販売をやめて、通販を利用することで彼は落ち着きを取り戻しました。

岩野さんは「好きなことを仕事にしているから、障害がない」と語ります。
彼は「自分でもできること」から「自分にしかできないこと」へと発想転換をしたのです。

発達障害があってもなくても、自信過剰な人でもない限り「自分でもできることは何か」と探してしまう時期があります。
どんな子どもに対しても「ダメな自分、弱い自分、できない自分」に焦点をあてるのではなく「こんな自分だからこそできること」を探せるように親が導いていきたいですね。

おわりに

発達障害は身体的な障害と違って見た目ではわからない障害のため、周りの理解を得にくく、親にとっても受け入れるのが難しい障害の一つです。

しかし、社会での生きにくさを感じて一番苦しんでいるのは子どもです。
発達障害の子どもは叱られる経験が多くなりがちで、自己肯定感が低くなりやすく、うつや適応障害、不登校などの「二次障害」も引き起こしやすくなります。

親が一番の子どもの理解者になり、生きやすい方法を一緒に模索して、毎日を笑顔で過ごしていきたいですね。

子どもが生きやすい道を

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