勉強・教育

乳幼児期に英語教育は必要? 子どもにとって大切な言語能力とは?

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子どもに求める「英語力」とは?

幼児の英語教育で大切なことは?

公立小学校の英語教育が大きく変わろうとしています。
5~6年生で行われてきた「外国語活動」に替わり、教科としての「英語」がスタートします。そして3~4年生で「外国語活動」が導入されます。
また、既に高校で行われている「英語で授業を行うことを基本とする」ことが、中学校でも実施されていく方向です。
私立では1年生から英語を導入しているところもだいぶ多くなってきました。

それに便乗するように、乳幼児向けの英語教材会社や英会話教室が生徒の囲い込みに必死になっているようですが、果たして、英語教育はいつから始めるべきなのでしょうか? そして何をするべきなのでしょうか?

英語力ってなに?

まず考えたいのは「英語力」についてです。親が子に期待する「英語力」とは何でしょうか?
良い成績をとることでしょうか? いえ、TOEICで満点をとれても話せない日本人はたくさんいます。
話せるようになることでしょうか? 流暢に話せても学校の成績が悪いこともあります。

幼児にとっての「英語力」をどう捉えるかそもそも私たちは、単語や文法の知識のみならず、論理的思考、抽象的なことを概念化する力、相手の感情を慮る力など、たくさんの能力を使いこなして「聴く、話す、読む、書く」ことをしています。

そういう意味で、乳幼児期の子どもたちは、母国語ですらまったく使いこなせていません。

「先週行った動物園で見たコアラがテレビに出ているよ」と言うのではなく「あれ、あの、きのう、コラアア、みて!みて!」などと懸命に伝えてきますが文法も時制も何もありません。
それでも家族は「ああ、ほんとだね、先週見たコアラさんだね、かわいかったよね」と理解し会話します。

「英語力」をどう捉えるか。
これを考えずにやみくもに英語教材を購入したり英会話学校に通わせたりしても、結局子どもが「英語嫌い」になって中学以降の成績はひどいもので、まったく身につかずというパターンに陥ります。

一方で、「英語を使いこなす日本人」1000人のアンケートによると、英語を習得した手段として次のものが挙げられています。

  • 学校(中学~大学)の勉強
  • 独学(ラジオや映画など)
  • 海外留学(15歳以降)
  • 成人後の英会話学校
  • 外国人との付き合いの中で
  • ビジネスで必要に迫られて
  • 海外勤務

上記の理由で、なんと95%を超えるのです。
では、乳幼児期の英語教育は意味がないのでしょうか?

乳幼児期の英語学習で大切なこと

「小さい時にやってもやり続けなければ、どうせ忘れてしまうから意味がない」

という意見を耳にします。果たしてそうでしょうか?

アメリカのワシントン大学にある学習脳科学研究所所長のパトリシア・クール氏によると

「生後10~12か月で母国語以外の言語を言語として認識しなくなっていく」

ということです。
幼児の「聞き取る力」を育ててくださいまた「7歳までは言語の天才」とも発表しています。
日本の赤ちゃんは1歳を迎える前に「r」と「l」の聞き分けを不要と判断します。
1歳を迎えるまでに大きな臨界期があり、7歳以降思春期に向かって言語習得能力が低くなっていくとい述べています。

ここで言う言語能力が「聞き取る力」であることは、おさえておきたいポイントです。

また、論理思考や抽象概念が養われるのは9歳・10歳以降と言われています。

この開きが、実はおとなになってから英語を使える人になるかどうかを左右しているのではないでしょうか。

バイリンガルの方に英語教育について聞いてみました

あるバイリンガルの女性の話は印象的でした。

「私は10歳の時に親の海外赴任で日本人がまったくいない現地校に放り込まれた。三人姉妹の2番目で、姉は15歳、妹は3歳。最初はトイレに行きたいことも言えず苦労した。2年で帰国したが、姉は英語嫌いになってその後何もせず忘れた。妹は幼児言葉から先を知らずに今や英語はちんぷんかんぷん。私だけがバイリンガルになった」

小さかった妹さんは記憶があまり残っていないそうです。そして強制的に英語の環境に放り込まれた思春期のお姉さまは拒否反応が勝ってしまったようです。
10歳ともなると論理思考もあり、他人と交渉したり自分の思いを伝えたいという思いが強くなります。
まだまだ柔軟な脳で日々苦労しながらも英語を使わざるをえない環境で習得し、その後も定着したのです。
彼女は知らず知らず親の計らいで英語を耳にしていたかもしれませんが、海外赴任前に英語教育を受けた自覚はないそうです。

海外で過ごした子どもの英語力は?

次に、3~7歳を現地校で過ごし、現在大学生のバイリンガルに「乳幼児期の英語学習は意味がないと思うか?」と質問すると、

「意味がないとは思わない。簡単な英語しか使っていなかったと思うが、英語学習を再開したとき、英語が懐かしく感じ、しばらく乗ってなかった自転車に乗った時のように徐々に感覚を思い出すようなイメージで取り組めた。だから、意味がないとは思わない」

とのこと。しかし彼は帰国後はしばらく日本語の力不足に悩み、一時期吃音症になったそうです。
隣で聞いていた彼の母親(英語は大人になってから習得)は、こう教えてくれました。

「私は乳幼児期の英語教育はどちらでもいいかなと思う。子どもの時自転車に乗ってなくても、練習すれば乗れるようになる。でも私は海外赴任時、あえて日本人のいない街に住み、英語漬けで過ごしていた。自転車に乗るために努力が必要ということだと思うけれど、でも一番大事なことは語学力そのものではなく人間力だから」

乳幼児期の英語教育に欠かせない親の役割

幼児期の英語教育は親も一緒に楽しむこと

ご家族や親せきに英語を話す人がいたり、海外や国内のインターナショナルスクールに通える子どもは僅かです。

耳の観点からすれば「環境があるに越したことはない」といえますが、乳幼児期の英語教育が必要か必要でないかといえば、おとなになってから習得した人たちが多いことからも焦る必要はなさそうです。

乳幼児の時は、親子のコミュニケーションや遊びに英語を取り入れて、「英語が好き、楽しい」と思えると、小学校以降のスムーズな学習につながり、本人の力で自走していくことができるでしょう。
そのために英会話教室や英語教材を上手に活用していけると、「あの頃の英語の習い事は無駄だった!」とぼやく親にならずに済みそうです。

まず親ができることは「楽しませること」「一緒に楽しむこと」。
それが乳幼児時期には欠かせない要素です。

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